猫の里から

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心の中のグリザベラ

ミュージカル『キャッツ』の中で、『メモリー』を感動的に熱唱するグリザベラというネコは、若い時は美しい人気の娼婦でしたが、年老いた今は、誰にも相手にされずに寂しく生きているおばあさんネコです。

ジツは、私の心の中に、このグリザベラとイメージが重なる1匹のおばあさんネコがいます。


Touch me, it's so easy to leave me
All alone with the memory
Of my days in the sun.
If you touch me you'll understand what happines is
Look, the new day has begun.

------------------------------ Memory


彼女との出会いは、もうずいぶん前のことになるのですが…


週末にオットとふたりで行く公園で、いつのまにか顔なじみになりました。

毛長で白と黒のブチの、とてもおっとりとしたおばあさんネコです。

もう、あんまり毛づくろいをしないためなのか、もじゃもじゃの汚い毛をしていましたが、どこか優しげな雰囲気のある、トロンとした目が印象的でした。

いつも彼女は、目の前にゴハンを置かれてもスグには食べず、私たちの足に体を擦り付けてきて、体を撫でてあげていると、いつまでも気持ち良さそうにじっとしているのです。

ゴハンを置いたままそんなことをしていると、どこからか他のネコ達が集まってきて、彼女にあげようとしたゴハンを、どんどん食べてしまいます。

でも彼女は、ゴハンを食べているネコ達のそばでしずかに見守り、お腹いっぱいになったネコ達が立ち去った後でやっと、「どれどれ、それじゃぁ私も頂こうかしらね…。」とでも言っているみたいに、食べ残されたゴハンを、ゆっくりゆっくり食べ始めるのです。

彼女はいつも、ほんの少ししかゴハンを食べませんでした。

「おばあちゃんだからかな?」と思っていたのですが、ある日たまたま持っていったイワシの缶詰は気に入ったらしく、いつもよりたくさん食べました。

彼女のお気に入りをみつけた私たちはその後、必ずイワシの缶詰を持って行くようになりました。ただ彼女は、大好きなイワシも、そんなにたくさんは食べませんでした。

そんな小食な彼女でしたが、或る日、いつもより、いえ、今まで見たこともないくらいの食欲で、まるまる1缶を全部、本当に美味しそうに食べきったのです。

食べ終わった彼女は、よほど満足したのか、私たちが見守る中、めずらしく長い時間をかけて丁寧に毛づくろいをし、悠然と林の中に姿を消しました。

彼女の姿を見たのは、それが最後です…。

その日以降、何度かイワシの缶詰を持って彼女に会いに行きましたが、彼女の姿を見かけることはありませんでした。

私たちは、きっと怪我でもしてしまい、どこかで保護されてるのかもしれないと思っていました。手術や怪我の為に保護されて、久しぶりに姿を見せるコが、少なからずいたからです。

その後しばらくしてから、公園ネコの事情通のTさんにお会いした時に、彼女の消息を聞いてみました。すると、Tさんも最近、ふっつり姿を見かけなくなったと言うのです。

Tさんは、「病気や怪我をしたのなら、どこかで私の目に入るはず。ネコは自分の死期を悟ると姿を消すと言われているので、彼女もきっと、ネコ本来の往生を遂げたのではないか。」と話されました。

私は、きっといつかまた公園で会えるかもしれないと、ずっとそう思っていましたので、もう二度と彼女には会えないと思うと、とてもとても悲しくなりました。

Tさんと別れたあと、最後に彼女が美味しそうにイワシを食べていた場所で、彼女の姿を思い出しながら、しばらくぼーっと海を見ていました。

その時にオットと私は、「救いは彼女が、病気や怪我をすることなく、ネコらしい姿の消しかたをしたこと、そして最後にあった時、お腹いっぱいイワシを食べてとても満足そうだったこと、だね…。」と話しました。

今でもたまに、ふっと彼女を思い出し、ふたりで彼女の思い出話しをしたりしています。

いま彼女はきっと、ジェリクルキャッツとして選ばれて行った天上の世界で、若い頃の綺麗な姿に戻り、仲間たちに囲まれて、楽しく暮らしているんだと思っています。

あるいは、もしかしたら、もともとは飼い猫のようでしたので、彼女を公園に置き去りにした飼い主を、恨むことなく、虹の橋でその人が、迎えに来るのを待っているのかもしれません…。

komorebi.jpg

| 公園のネコたち | 15:17 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

切ない物語…

久しぶりのコメントですっ!
引っ越してからネットが繋がってないからブログも更新できず…。
は~やくネットこ~い(T^T)

それはさておき、死期を悟ってという話、よく耳にしますよね。
切ないけど…いったいなんでなのかなって昔から不思議でした。
気高いからなのか、好きな相手に見せたくないのか…。

| きまぐれ黒猫 | 2006/07/25 20:06 | URL | ≫ EDIT

ご主人の仰る通り

満足そうな姿だった…
それが全てだと思いたいですね。
色々考えてしまうとキリがなく、悲しくもなるので^^;
差し伸べたい手には限りがあるし
たまには自己嫌悪に陥ることもあるけれど。

つーさんのご主人とってもお優しい方で羨ましい^^

| shinon | 2006/07/25 23:41 | URL | ≫ EDIT

>きまぐれ黒猫さんへ
来てくれて、本当にありがとう。!(^^)!
早くネットが開通すると良いですね。更新されたらまたお邪魔しまーす♪

ネコが姿を消す訳、黒猫さんが言う通りかもしれませんね。
『好きな相手に見せたくない』なんて、なんてウイ(愛)ヤツらなんだ…。(T_T)(感涙)


>shinonさんへ
shinonさんのように、優しく行動力のある方が自己嫌悪なんて、ドンデモナイ!
子猫を保護されて、本当に大変だと思います。そんなshinonさん、スゴク素敵です♪
早く小熊ちゃんの里親さんが見つかると良いですね。!(^^)!

| つー | 2006/07/26 14:28 | URL | ≫ EDIT















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